
住友館クリエイターズボイス Vol.5 阪田まゆ子
こんにちは、住友館です。
この連載「住友館クリエイターズボイス」では、展示や建築、演出に関わったクリエイティブスタッフたちの“声”を、少しずつ紹介していきます。
万博やパビリオンにかける想い、乗り越えた苦難、ゆずれないこだわりなど、たくさんの物語が詰まっています。
住友館 UNKNOWN FORESTを体験された方は、この部屋を見つけられましたか?

今回の語り手は、“秘密の場所”としてSNSなどで話題を呼んでいるUNKWNOWN FOREST「木漏れ日の園」の企画・デザインを手がけた阪田まゆ子さんです。
<プロフィール>
大阪芸術大学デザイン学科スペースデザインコース卒業後、株式会社丹青社にて経験を積み、現在はフリーランスとして活動。
企業ミュージアムやショールーム、イベント空間などの企業プロモーションの空間に加え、2015年ミラノ万博および2020年ドバイ万博において、日本館のプロジェクトにも携わりました。
「体験をデザインする」という視点を大切に、伝えたいメッセージがしっかりと届く空間づくりを心がけています。https://bento.me/mayukosakata
住友館に関わることになったキッカケは?
前職を退職して間もない頃に総合プロデューサーである内藤さんからのお誘いを受けて、住友館のプロジェクトに参加することを決めました。
ミラノ万博・ドバイ万博と長い時間の苦楽を共にしてきた内藤さんから連絡をもらえた事、ライフワークのように長年関わってきた万博にまた携わることができる事がとても嬉しかったことを覚えています。
ほとんどが今まで関わったことのないメンバーの中に突然入っていく形だったので、緊張と不安もありましたが、同時に新しい場所に踏み出すドキドキ感も大きかったです。
リト@葉っぱ切り絵と共創した空間
「木漏れ日の園」は、葉っぱ切り絵アーティスト・リトさんとのコラボレーションエリア。
リトさんの切り絵作品をどうやって見せるのがこの空間として一番いいのか、ということが初めの課題でしたが、作品がシルエットなので、「光と影」を使った演出がいいな、とは初めから考えていました。

いくつかのアイデアの中から今の案でいくことが決まり、次にぶつかった課題はイメージ先行で描いていたパースイメージをどうやって具現化していくか、でした(笑)

天井の装飾をどんな素材で、どんな形状で、どうやってレイアウトするか、でかなり印象が変わってしまうため、全体のバランスを見ながら各所進めていくのですが、図面では表現できない部分(実際に見てみないとわからない事)が多かったため、制作チームのみなさんに協力していただき、何度も実寸サイズの部分検証を重ねて表現のブラッシュアップをしていきました。現場では、天井装飾の上から照明を当てて木漏れ日を演出しているのですが、照明の向きや高さ、明滅の動き、装飾を物理的に動かす風の動き、を何度も調整して心地の良い空間を作っていきました。

また、リトさんの作品はとても精巧で小さいため、製作する機械でカットできない!という事がありましたが、機械でカットする部分と実際にリトさんにカットしてもらう部分を仕分けして作業を進めるなど、各セクションの連携と丁寧な対応でかたちにすることができました。
見つけられましたか?リトさんの作品。
木漏れ日の園には6種類のリトさんの作品が隠れています。
なかなか見つけるのが難しいですが、見つけた方はいらっしゃるでしょうか?

これまで万博の仕事をしてきて、「1970年の大阪万博を見て、こういうものを作る仕事をするんだ!と思って今ここにいる」という方に何人も出会いました。今回の住友館を見て同じように思ってくれる子供たちがいたらいいなぁと密かに期待しています。私もミライのタネを撒けていたら嬉しいです。

やっぱり、リアルな空間体験!
今回の万博で改めて強く感じたのは、リアルに体験することの大切さです。
アプリケーションやデバイスで本当にすごい事ができる時代になってはいますが、
心を強く動かす事ができるのは、やっぱりリアルな空間体験だと思います。
これからもそんな空間が作っていけたらなぁと思います。